シンゴのきになる話㊿ 酔芙蓉の巻(その7)
ムクゲは一日花ではありませんが、人々に芙蓉と同様に夕方にはしぼんでしまうと思われています。それで人の世の短い栄華を「槿花(きんか)一朝の夢」と誤って表現されています。
また、そのはかなさ故に華道ではあまり好まれていないというのも誤りで、生け花、一輪挿し、生け花の形状を整えるのに昔から使われています。
俳句では秋の季語です。松尾芭蕉の「道のべの 木槿(もくげ)は 馬にくわれけり」という句や、小林一茶の「それがしも 其の日暮らしぞ 花木槿」があります。
良く似ている芙蓉と槿の見分け方は次のとおりです。
花の形は良く似ていますが葉を見ると違いがわかるそうです。
その他に花の大きさが芙蓉は槿より一回り大きく、めしべの先が芙蓉は曲がっているが槿は直線状、芙蓉は横に広がるが槿は縦に伸びるなどがあります。
酔芙蓉は歌謡曲にもでてきます。まずは石川さゆりの「風の盆恋歌」(作詩 なかにし礼)です。
蚊帳の中から 花を見る 咲いてはかない 酔芙蓉
若い日の 美しい 私を抱いて ほしかった
しのびあう恋 風の盆
そして「酔芙蓉」(作詞 坂口照幸)そのものの題名の歌を島津悦子や伍代夏子が歌っています。
苦しまないでね 私のことで 男が曇れば あとを引く
いいの 最後の 逢瀬でも 酔えるひと刻 その刻だけを
せめて私に くだされば 花はひと咲き 酔芙蓉
酔芙蓉って魅力的で不思議な花ですね。
酔芙蓉の巻 終わり