シンゴ旅日記ジャカルタ編(11)  散歩しながら考える(イヌとネコと)の巻

散歩しながら考えるの巻 イヌとネコと (2018年3月記)

早朝散歩で出会う動物はまずイヌです。

イヌを連れて散歩する人たちと出会います。

イスラム教ではイヌは忌み嫌われる動物ですから、イヌを飼っている家は中国系の人か外国人が大半だと思います。

中にはインドネシア人のメイドさんが朝の散歩をさせているところも見かけます。

そして首輪のない野良犬にも出会います。まだ夜が明け切れない薄暗い時に、野良犬が近づいてくると怖いです。というのは、私は狂犬病の予防接種を受けていないからです。

会社でスタッフにイヌとネコの鳴き声をインドネシア語で何というのか聞いてみました。

イヌはグッ、グッ(guk-guk)で、ネコはメオン、メオン(meong-meong)と鳴くそうです。

お国が変わると動物の鳴き声も変わるもんですね。

 

イヌの次にはネコを見かけます。

普通は家の玄関先に座っていたり、家から道路に出てきた時に出会います。

でも、一度、草地を走り抜けるネコを見かけたことがあります。

まるでヒョウかチーターのような走り方でした。

それもそのはずで動物分類では、ネコもライオンもトラもヒョウも種は別々ですが、その上の科はネコなのです。ネコがライオン科でなく、ライオンがネコ科なのです。

イヌもネコももともとは肉食の野生動物です。でも、その狩猟方法が違うのです。

イヌは追跡型で、草原を走り抜ける長い足を持ち、相手が息を切らして休むところを狙います。

でも、イヌは木には登れません。

一方、ネコは待ち伏せ型で、木に登って獲物がやってくるのを待ちます。

ネコが木に登ることができるのは、小さな鎖骨があり抱きつくことができるからです。

 

イヌとネコどちらがヒトとの関わりが長いかというとイヌの方なのです。

世界の歴史からみるとイヌはヒトの狩猟時代から獲物を追う猟犬や番犬として付き合ってきました。

しかし、ネコはヒトが農耕時代に入ってからの付き合いなのです。

ヒトが穀物を貯蔵するようになり、ネズミの被害から穀物を守るためにネコが飼われ始めたようです。日本では中国から経典を持ち帰るときに船内で大切な経典をネズミにかじられないようにとネコが船に持ち込まれ、それが日本に入って来たようです。

日本の歴史で書物にネコが現われるのは885年の宇多天皇(第59代、867年~931年)の日記に先の天皇の光孝天皇(第58代、830年~887年)から中国産のネコをもらった時の描写があります。

 

ネコよりもイヌの方が先に人間と関わった証拠として、漢字が示しています。

「けものへん」の犭が犬という字形からできていて、ネコの漢字『猫』にけものへんが使われているからです。

今年の干支は戌年です。でもなぜ十二支にネコがいないのでしょうか。

神様  動物たちよ、お前たちは喧嘩ばかりしているのでリーダーを決めることにするぞ。

正月に一番最初に私のところに挨拶に来たものをリーダーとする。

そして、翌年からはその来た順番に入れ替わりとする。

ネコ    ネズミさん、ごめん、今、ボク寝てたんで、神様が何と言ったか教えてください

なんか、神様は元旦の朝に集まれっていったんだよね。

ネズミ  違うよ、ネコさん、元旦はゆっくりしてください、その代わりに二日の日に集まれっておっしゃ

たんだよ

ネコ  そうか、二日の朝か、じゃあ元日はゆっくり寝ていよう

となったわけです。

そして、なぜ小さなネズミが一等になったかというと、ウシさんが「ボクは足が遅いから大晦日から出かけることにしよう」と言うのを聞いたネズミが広いウシの背中にこっそりと乗り込み、その上で寝て行ったのです。

そして神様の家の前に着くと、さっと起き上がって「ありがとうウシさん」と言って牛の背中から下りて一番乗りしたからなのです。

二日に神様の所へ行ったネコの後日談です。

ネコ     あけましておめでとうございます。

今日は誰もまだ来ていません、私が一番乗りですね。

神様     たわけたことを申すでない、来いと言ったのは昨日の元旦のことじゃ。

何を寝ぼけたことを言っておるのじゃ。顔を洗って出直して来い

ということとなり、ネコはいつも顔を手で洗うようになり、そして、自分をだましたネズミを追っかけるようになったのです。

でも、ネコさん、安心してください。十二支には国によって動物の入れ替わりがあり、ネコさんの入る国もあるのですよ。

それらはチベット、タイ、ベトナムで、ウサギさんの代わりにネコさんが入っているのです。

良かったですね。ネコさん。

また、ほかの国ではイノシシがブタになったり、トラがヒョウになったりします。

なお、十二支の動物にはそれぞれ縁起の意味があります。

十二支 動物 縁起 十二支 動物 縁起
ねずみ 子孫繁栄、財 うま 健康、ほがらかさ
うし 誠実さ ひつじ 豊作、人情
とら 決断力、物事の始まり さる 日和、柔軟さ
うさぎ 家内安全、温厚さ とり 収穫、世話好き
たつ 生命活動、正義感、信頼 いぬ 安産、努力
へび 情熱、追求心 いのしし 無病息災、勇気

でも、十二支の漢字をみても動物とは関係ありませんよね。

十二支は本来は動物ではありませんでした。

もともとは12年で天を一周する木星の天の位置を示すための「年」の数詞だったのです。

それが月日や時間、方角に使用されるようになったのです。

方角では北東の「ウシトラ」、南東の「タツミ」、南西の「ヒツジサル」、北西の「イヌイ」が漢字の艮、巽、坤、乾となりました。

 

私は散歩中に一回だけウサギを見たことがあります。

野生ではありません、飼いウサギだったのですが、よその家の庭の草を食べていました。

イヌ、ネコ、ウサギ以外では、朝や夕方に飛びかう鳥たちです。

きっと、巣で待つ小鳥たちにエサを与えるために飛び交う小さな虫をとらえているのでしょうね。

それを見ると私は子供の頃のテンカラ釣りを思いだします。

夏の夕立が来そうな時は面に羽根のある小さな虫たちが飛び交うのです。

その小さな虫たちを捕食しようと川魚が水中からジャンプしてとらえるのです。

その虫に似せた毛バリを何本も付けた釣り糸を竿の先につけ、先端につけた浮子を川の中流に向かって投げ、浮子が流れて行く間に魚がその毛バリに飛び付くのです。釣れる時は一回竿を振る度に釣れました。それも一度に二匹も掛かることもありました。時にはアユも釣れることがありました。

ある朝に雑木林の道を歩いていると道路脇に小鳥がじっとしていました。

巣から落ちてきたのでしょうね。まだ唇に黄色が残るような幼鳥でした。

近くで親鳥が幼鳥を探していないか見回したのですがそんな気配はありませんでした。

道路は車が通るので木の生えている林の方へ追い返そうとしてあげるのですが、縁石を乗り越えられないようでした。アパートに連れて行って飼うわけにもいかず困りました。

私はしばらく幼鳥の様子を眺めていましたが、心を鬼にしてその場を立ち去りました。

ある朝はイヌとネコが睨みあっているところに出くわしました。ネコは背中をまげて威嚇していましたが、この後イヌに追われて逃げて行きました。

でも、ジャワ島にイヌやネコはいつごろどのように渡ってきたのでしょうね。

丹羽慎吾

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