シンゴ旅日記 特別寄稿  帰国者のボヤキ(その1)の巻

まあ、みなさん、聞いておくんなはれ。帰国者はまるでコロナ感染者扱いですわ。

えっ、何をボヤいとるんやてですか。私はジャカルタから10月7日に帰国して成田のホテルで2週間の待機生活をしてますんや。 その前にこのホテルに来るまでのお話をさせてもらいますわ。

私は朝6時半に出発する飛行機に乗るためにチカランのアパートを深夜2時に出たんでっせ。すると1時間半もかからんと空港に着いてしまいましたんや。何年か前のレバラン休みで帰国した時には3時間あれば余裕を持って着くと思 ったのに5時間近くかかって高速道路の上で飛行機に間に合わへんちゃうかとハラハラしてたことが嘘のようですわ。私は持ち帰る荷物を別送便とせんと全部トランクに詰めて帰ったさかいトランク の大きいの2個、中くらい2個、リュック一個、手提げ一個それにギターケース一個とぎょうさんありましたんや。えっ、ギターが弾けるんですかって。弾けるちゅうか、

これな、私がタイに駐在した20年位前に嫁さんが記念にって買ってくれたんですわ。高価なもんやから飾っておるだけすわ。えっ、ど このメーカーですかって?すんません、ヤイリですねん。岐阜県は 可児市の有名なギターメーカーでっせ。ヤイリには一期一会、ちゃう一五一会ちゅう4本弦の有名なギターがおますんやで、このギターな、指一本でコードが弾けるちゅう優れもんなんですわ。あの沖縄の BEGIN さんと一緒に作ったギターなんですわ。私のは普通のクラッシック・ギターですわ。

あかん、あかん、話が岐阜に向かってもうたわ。そんで私の手荷物のことですわな、トランクが大きいちゅうても1個の重さは23㎏にしてくださいちゅう決まりがあるんでっせ。そんでそれらを空港のカート1一台に載せて私が一人で運べるかどうか心配やったけど、なんと1台に全部載るもんでんな。

空港について荷物をカートに積んで4年半働いてくれた私の運転手さんにお礼を言って別れて空港の建物に入りましたんや。運転手さんは無言でちょっと寂しそうでしたわ。一緒に何回も日帰り旅行に行ったり、朝晩の通勤では車の中   で彼から新聞の話題や彼の田舎話を聞いたり、私の日本半分ホラ話をまじめに聞いてくれたりしてくれましたもんね。それになんといっても2年前に運転手さんに次男が生まれたときには私の名前を付けてくれたんでっせ。そやさかい今回はいつもの遠出の時より多い心付けを渡しましたんや。

タイの時もインドの時も毎日話をしてた運転手さんと別れるのはつらいもんでんな。あかん、なかなか本題に入っていけませんわ。

そんなんでチェックインは一番乗りでしたで、係員がまだ列を整理するあ  れ、あれ、あのー、あれです、あのテープの出てくるスタンドを立てながらお客さんの通路を作って   ましたわ。そんで30分ちょっと列の一番前に立って並んで待ってチェックインでしたわ。

そやけど日系の航空会社でんな、受付開始する前にスタッフの皆さんがお客さんの方を向いて並んで開始の挨拶をしましたで。そんでね、私の荷物は当然重量オーバーでしたんや。そんで別のカウンターに  連れて行ってもろてそこで追加料金払って搭乗券をもらいましたんや。けど超過料金のレシートをみたら重量やのうて荷物 3 個オーバーで計算した料金でしたわ。あの金額で私は儲けたんかなあ、損したんゃろかなあ。

それから手荷物検査に行く前にフロアーをいろいろ見て歩きましたんや。朝まだ4時のせいかコロナのせいかほとんどのお店が閉まってましたわ。あのスター何とかちゅうコーヒーの店も日本のうどん屋さんの店も閉まってましたけど牛丼の店は開いてましたで。私は前の晩も何回目かの最後のお別れ会を仲間にやってもろて食べて飲んでましたさかいお腹は空いてませんでしたんや。

空港のフロアーの真ん中へんに窓口がいくつか並んだとこがあってその前に人が列を 作っておったさかいそこはなんやろうなと思って行ってみたんですわ。そしたらそこはラピッドテストの証明書を発行するところでしたんや。インドネシアでは国内線にラピッドテストの証明書がいるちゅうて聞いたことありましたんで、ああこれがそれかと思いましたわ。

それ以外に見るもんがなかったんで早かったけど税関に行きましたんや。この前に帰国したときには広い建物の反対側にある国内線の入り口に行ってしもたのですが今回は間違えませんでしたで。学習効果ちゅうやつですわ。けど国際線の方に入っていつものように奥の普通客のラインに行こうとしたら女性係官がおって手前のVIP の方に行けちゅうんですわ。なんでVIP なんやと思ったんですけど飛行機に乗る人が少ないからやと思いましたわ。

そんで手荷物検査ですわ。久しぶりの飛行機やさかい何をX 線に通すか忘れてしもて、パソコンと携帯だけトレーに入れて門型検査機をくぐろうとしたら、検査機の向こうにいた   検査官からポケットの中のもん出してトレーに入れろ、時計をバンドも外してトレーに入れろ、帽子もトレーに入れろですわ。しょうがおま せんわな。泣く子と役人にはかてませんわ。

そんでX 線の機械を通した後でバンドはせなあかん、ジャケットは着なあかん、財布はちゃんとあるか、そんであれっ時計はどこやと思うたら検査官が床を指さしましたんや、ちゅうのは私は時計を最後に慌てて外して上着の上にのっけたもんやさかい機械の出口のゴムのノレンに引っかかってベルトコンベアの上に落ちてそれがその次のローラーコンベアーに来てローラーの隙間から床に落ちてしもてたんですわ。難儀な帰国ですな。

そしてイミグレですわ。もうビザ終了の手続きのEPO これなEXIT PURPOSE ONLY の略ですわ、それも先週終わってパスポートにそのスタンプ押されてましたんですわ。けど私はパスポートを見せるんは Foreigner のカウンターかKITAS HOLDER のカウンターかどっちやろかと一瞬悩んでKITAS HOLDER の方に行ったんですわ。そしたらすんなりスタンプ押してくれましたわ。

すんなりちゅうてもマスクを口から外して顔をしっかり見せろっていわれましたけどね。あの~、EPO  って日本では女性のシンガーソングライターがおりますんやね。本名を宮川栄子ちゅうて東京生まれで沖縄在住ですってね。高見知佳や香坂みゆきに楽曲を提供してるそうですわ。これらの歌手を知らん人が増えてきてまんな。

あかん、まだジャカルタ空港の中の話でしたわ。ほなら急ぎますわな。

(その2に続く)

丹羽慎吾

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